ラオカイ省バクハー県では、初夏に雨が降ると、山の沢から水が流れ出し、棚田に注ぎ込む

水が流れ込むことで山里が目を覚まし、人々は稲作の新たな季節に取りかかる

棚田に張られた透明な水が太陽の光を受けてきらめき、見る人を圧倒するような自然の美を見せる

毎年5月から6月にかけて、初夏の雨が棚田に命を与える

寒冷で水資源の少ない北西部では、稲作は年1回のみ。水が棚田に満ちるこの時期は、農業の重要な節目であると同時に、山岳地帯の美しさが際立つ季節でもある

霧に包まれた早朝、タイザンフォー、ホアントゥーフォー、バンリエン、タークーティーなどの村の棚田は、山の斜面を優しく曲がりながら広がる。水を張った田んぼは光を反射し、丘全体が鏡のように輝く。稲穂が黄金色に染まる季節とは異なり、この時期は素朴で静かな色合いが山の魅力を際立たせる

バクハー県に住むモン族やタイ族などにとって、この時期は忙しくも活気に満ちている。水牛が棚田を耕し、機械の入らない地形でも人々を支える

家族総出で棚田へ。畔を築き、苗を植え、草を取る人々の笑い声、水の音、水牛の泥を踏む音が響き合い、素朴で温かな労働の交響曲を奏でる

カウメオ、タムトム、ダイトム、センクー、BC15、LC25などの稲は収量が高く、香り豊かな米を実らせる。これにより、地域の食糧事情は安定している

水が満ちたバクハー県の棚田風景はまるで絵画のようで、訪れる者の心をとらえ、新たな稲作の到来を告げる

この土地を訪れ、棚田の真ん中に立ち、空や雲、太陽を映す水面を眺め、土や新芽の匂いを感じてこそ、この地の神秘的な美しさを心から味わうことができる

華やかさはないが、静かで素朴な美しさと、人々のあたたかさがバクハー県の棚田に水が満ちる季節に深い魅力を与えている